会議が終わったあと、海外拠点の同僚に英語で話しかけられて、頭が真っ白になった。
そんな経験はありませんか。
「読むのはなんとかなるのに、話そうとすると一言も出てこない」
社会人向けの語学相談で、私が一番多く受け取る悩みです。
文法も単語も知っているはずなのに、いざとなると言葉が喉の奥で止まってしまう。
その理由と、相手がいなくても始められる練習法を、ゆっくり見ていきますね。
口から英語が出ない理由

話せない原因は、能力ではなく経験の偏りにあることが多いです。
インプットばかりで、口を動かす時間がほとんどないまま大人になった人は少なくありません。
まずは、なぜ言葉が出てこないのかを整理してみましょう。
知っていると言えるの差
単語の意味を知っていることと、それを口に出せることは、別の力です。
例えるなら、楽譜を読めることと、実際にピアノを弾けることの違いに近いかもしれません。
読譜ができても、指がなめらかに動くまでには別の練習が必要です。
英語も同じで、知識を声に変える回路は、使わなければ育ちません。
テストで高得点を取れる人でも、話す場面で戸惑うのはこのためです。
「知っているのに、なぜ言えないのだろう」
そう感じたことのある人は、きっと多いはずです。
完璧主義というブレーキ
もうひとつの壁が、間違えたくないという気持ちです。
文法を完璧にしてから話そうとすると、頭の中で文を組み立てている間に、会話は次へ進んでしまいます。
「正しく言えないなら、黙っていたほうがましだ」
そう感じる人ほど、口数が減っていきます。
とはいえ、最初から完璧に話せる人はいません。
大切なのは、多少間違えても伝わればよいという割り切りです。
ひとりごと英語の始め方

話す練習に、必ずしも相手は必要ありません。
自分の行動や考えを英語でつぶやく、ひとりごと英語なら、今日からひとりで始められます。
具体的なやり方を、3つの段階に分けて紹介します。
実況中継から始める
まずは、自分の動作をそのまま英語にしてみましょう。
朝、コーヒーを淹れながら
「I’m making coffee」
とつぶやく。
たったこれだけでも、口を動かす立派な練習になります。
難しい表現はいりません。
中学校で習った単語だけでも、日常の大半は実況できます。
1日3分の小さな習慣
時間は長く取らなくて構いません。
歯を磨く2分、駅まで歩く5分、そうしたすき間で十分です。
外資系企業で働くNさんは、毎朝の身支度の間だけ英語でつぶやくことを続けているそうです。
大切なのは長さより、毎日途切れさせないことです。
1日3分でも、続けば一週間で20分を超えます。
ポイント
ひとりごと英語は、完璧な文を作る練習ではありません。
今ある言葉で言い切る度胸を養う時間だと考えてください。
スマホで録音してみる
慣れてきたら、スマホで自分の声を録音してみましょう。
あとで聞き返すと、発音や言い回しの癖が驚くほどよく分かります。
「あれ、こんな言い方をしていたのか」
そんな発見が、次の改善につながります。
ただし、聞き返して落ち込む必要はありません。
気づけた時点で、すでに半歩前進しています。
続けるための工夫

どんな練習も、続かなければ力になりません。
ひとりごと英語を習慣にするには、上達を急がない心構えが鍵になります。
無理なく続けるための考え方を、お伝えします。
上達を測らない期間
始めて数週間は、成長を測らない期間と決めてしまいましょう。
言葉の力は、種をまいてすぐ芽が出るものではありません。
土の中で根が伸びる時期のように、見えない変化が先に進みます。
3か月ほど続けた人からは、こんな声をよく聞きます。
「気づいたら、言葉が前より早く出るようになった」
すぐに結果が出なくても、焦らないでくださいね。
失敗を歓迎する姿勢
ひとりごとには、聞き手がいません。
つまりどれだけ間違えても誰にも迷惑をかけない、安全な練習場です。
失敗できる場所を持っている人ほど、本番に強くなります。
正直に言うと、私自身もすべての言い回しに自信があるわけではありません。
それでも口に出す回数を増やすことが、遠回りに見えて一番の近道だと感じています。
ポイント
続ける秘訣は、上手くなることより、口を動かす回数を増やすことへ目標を置き換えることです。
今日からできること

英語が話せないのは、才能の問題ではありません。
口を動かす経験が足りていないだけのことが、ほとんどです。
ひとりごと英語なら、相手も教室も要らず、今日から始められます。
- 知識を声に変える回路は、使わないと育たない
- 自分の動作を実況する、ひとりごとから始める
- 上達を急がず、口を動かす回数を増やす
まずは明日の朝、コーヒーを淹れながら一言だけつぶやいてみませんか。
その小さな一言が、半年後のあなたの言葉を少しずつ変えていきます。
ぜひ、肩の力を抜いて続けてみてくださいね。